株式会社亀山鉄工所は、ボイラーなどの圧力容器や熱交換器、煙突・煙道などの設備環境について、設計開発、製造、施工、メンテナンスまでを一貫して手掛ける仙台の老舗企業です。自社製品の一つ「自動圧力蒸煮釜(第17回みやぎ優れMONO認定製品)」は食品業界で評判を呼び、様々なメディアにも取り上げられています。
今回の取材では、開発室次長の玉手氏、設計部の櫻田氏、庄司氏、駒木氏に、同社の事業や自社製品の特徴、産業技術総合センター(以下「センター」)の利用事例などについて伺いました。




明治22年創業の老舗企業がつくる圧力容器
「創業は明治何年だっだかな…?亀山鉄工所は130年を超える歴史を持つ会社で、創業当時は銭湯の風呂釜などを作っていたようです。戦後すぐは進駐軍の暖房設備などのボイラーも手掛けていました。現在もその技術を引き継ぎ、圧力容器(第一種圧力容器。労働局の許可・検査を必要とする大規模な圧力容器)などの、“漏れない”容器を作ることを得意としています。」(玉手氏)
「自社製品に、納豆の生産工程で使われる大豆を煮るための“蒸煮釜”があります。食品業界からリクエストの声を受け、新たに開発した商品です。」(庄司氏)
「設計開発や製造だけではなく、現場施工やメンテナンスなどのアフターフォローも手掛けていることも自社の特徴かもしれませんね。ユーザーさんの現場に近い立場にいるので、色々な声を直接聞くことができ、それらを製品開発や品質改良につなげています。」(玉手氏)
長年培った技術とノウハウを活かして圧力容器の分野で業界を牽引する同社では、ユーザー目線のモノづくりを真摯に続けています。





CAE解析を活用して圧力容器の世界に改革を
「熱交換器に使われるタンク内部の流体解析をセンターの吉川さんにお願いしました。これ話しちゃっていいかな…??具体的には、タンク内の温度成層※1のシミュレーションです。冷たい水と暖かい水がなるべく混ざらないような構造を、CAE※2解析で探っていきました。タンクの能力を“最大限使い切る”ために、まったく新しい設計に挑戦したんです。」(櫻田氏)
同社では、積極的にCAE解析などのデジタル技術を活用して、自社製品の性能向上に取り組んでいます。センターでは、流体解析(液体や気体の流れのシミュレーション)や構造解析(物体にかかる応力のシミュレーション)などの技術を用いて技術支援を行っています。
「自社製品に蒸煮釜があるんですが、ある時、構造的な弱点が見つかりました。その時にも、センターで応力解析を協力してもらい、解決につなげました。」(庄司氏)
「この件では、吉川さんだけはなく、内海さんや四戸さん※3にも、かなっーーりお世話になりました。ここ強調して書いて下さいね(笑)。内海さんや四戸さんが現場まで来てくれて、応力解析の結果と、実際の現象が一致しているかを調べてくれました。熱電対とひずみゲージを蒸煮釜に取り付けて実際の力のかかり方を視覚化し、コンピュータ上での解析結果と比較したんです。そのデータを基に蒸煮釜の構造を改良しました。」(玉手氏)
CAE解析では、解析結果の「読み解き方」と、その結果を「どう設計に活かすか」が重要になります。今回の事例では、タンクの構造や設備設計に精通した社員の方と、センター職員がそれぞれの得意分野を活かしてCAE解析の結果を読み解きながら設計改良を進め、高付加価値なモノづくりを行うことができました。
「複数台の3D-CADを新たに導入して、より効率よく且つ高度なものづくりができる体制が整いつつあります。3D-CADの操作は、センターのカスタム研修の仕組みを活用して習得を進めています。」(櫻田氏)
「これからは、シミュレーションで使う3Dモデルの設計も自分たちでやっていきたいですね。」(庄司氏)
※1 温度成層:容器内の空気や水などが、温度が高いものが上に、低いものが下に層状に分かれている状態。
※2 CAE:Computer Aided Engineeringの略。コンピュータによる設計支援のこと。物理現象をコンピュータ上でシミュレーションすることを指すことが多い。
※3 それぞれ、自動車産業支援部と材料開発・分析技術部に所属するセンター職員。



今後のビジョンについて
「エネルギー構造転換の中、従来の製品だけでは商売が成り立たなくなりつつあります。今までの技術を活かして新しい製品にチャレンジしていかないといけない。温度成層や大豆蒸煮釜はその取組の一つです。」(玉手氏)
「デジタルもうまく使いながら、常に新しいことをやっていきたいです。まずは、温度成層のシミュレーションをきっかけに始めた3D-CADを一歩ずつ進めようと思います。」(櫻田氏)
「これまでの自社製品は基本的には動かないものでした。私は前職で機械製品を扱っていたので、その経験を活かして、大豆蒸煮釜のような自社の既存の強みに“動作”を融合させた新しい製品の開発をしていきたいです。」(庄司氏)
「次世代のエネルギーとして期待されている“水素”のタンクにも注目しています。」(玉手氏)
「あとは、シミュレーション技術を使って、大豆の煮えムラを無くす構造の設計にも挑戦したいな…。」(庄司氏)
皆さんに今後のビジョンをお聞きすると、いろいろなアイデアが溢れてきて、同社のクリエイティブな社風の一端を垣間見るとができました。
産業技術総合センターや宮城県に期待すること
「新しいことをやりだすと、わからないことや知らないことばかり。産技センターさんにはいろいろと教えていただきたいです。それと、相談してお話を伺う中で、産技センターにはいろいろな専門家がたくさんいることを知りました。センターの皆さんがどのような専門でどのようなことが得意なのかを知ることができる情報があると相談しやすくなると思います。他には異業種交流の場があるといいですね!」(玉手氏)
タンクや熱交換器などの圧力容器で実績のある同社は、デジタル技術も取り入れながら、新たな分野の製品にもチャレンジしています。センターでは、多分野の職員が協力し、企業の皆様に幅広い分野の技術協力をしていきます。






注:秘密保持のため一部画像を加工しています。
取材日:2025年2月12日
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