材料流動を制御するアイデアで,板金プレスに鍛造を取り入れ,板厚を積極的に制御する「板鍛造」。株式会社ウチダは1枚の板材から増肉や減肉を行い,様々な板厚や形状が混在するプレス部品の加工など,従来,後加工として切削工程を必要とした部品をプレス加工のみで最終形状まで仕上げる技術を有するメーカーです。
震災時,津波被害によりすべてのプレス機が浸水,顧客の転注ですべての金型が引き上げられましたが,今は99.9%の金型が戻り,売上も震災前のおよそ9割まで回復しています。
今回は産技センターが自動車部品のベンチマーク事業の一環として行った出前研修の合間に,佐々木社長と加藤営業グループリーダーにお話を伺いました。(取材日 平成28年6月10日)
宮城県産業技術総合センター利用のきっかけ・これまで
「長町の工業技術センター(産技センターの前身)時代からのおつきあいです。入社当時は,断面試料の作り方から金属組織観察,成分分析や硬さ測定など色々なことを教えてもらいました」(佐々木氏)
2007年には,モノづくりとデザインの融合を目指し,仙台出身の世界的デザイナー木村浩一郎氏や産技センターと共同で,マグネシウム合金製の椅子“Anarchy Mackintosh”の開発にも参画しました。
自動車部品展示商談会での変化
とうほく・北海道自動車関連技術展示商談会に(株)ウチダは当初から参加されています。
「最初は展示商談会なんて参加したことがなかったので,色々な製品を持って行ったんです。するとブースに人は来るのですが,我々が来て欲しいと思う人はなかなか来なくて」(佐々木氏)
その後,展示会に向けたパネルの書き方や見せ方について産技センターの助言を受け,ターゲットを絞った展示に変えました。
「三河地区の企業が何に関心を持っているのか分かるようになり,Tier1企業との商談に成功することができました。直噴インジェクタハウジング(写真)は弊社の近年一押しの板鍛造製品です」(佐々木氏)
今後の展開と産技センターに期待すること
今回はインジェクタ等の自動車部品のカットモデルを携えた出前研修にお邪魔しました。
「最終製品に自分の作った部品がどう使われているのかを従業員が直接確認できることは,モチベーションアップに繋がります。現場に来てもらえるとたくさんの社員が参加できるのでありがたい」(加藤氏)
たゆまぬ挑戦と確かな技術力で(株)ウチダは塑性加工の頂点を目指しています。
会社概要
所在地 | 郵便番号989-2421 宮城県岩沼市下野郷字中野馬場1-1 |
ウェブサイト | http://www.uchida-sendai.co.jp/ |
電話,FAX | 電話 0223-24-1234,FAX 0223-24-1233 |
代表取締役社長 | 佐々木泰孝 |
創業 | 昭和30年7月 |
従業員数 | 100人 |
資本金 | 5,500万円 |
主な事業 | インジェクタハウジング,リニアソレノイドハウジング,フィルター,その他自動車用プレス部品を製造。冷間鍛造加工や機械加工をはじめ,CAE解析を駆使した技術解析で最適な金型や治具の設計製作も行っている。 |