異業種から医療分野製品への挑戦 〜有限会社テクノ・キャスト〜

更新日: 2024年12月17日
 

有限会社テクノ・キャストは,歯科で用いられる義歯製造を主要業務とする宮城県大崎市の企業です。近年では,「医療への貢献」を理念に掲げ,歯科技工で培った加工技術を生かし,PVAを活用した血管モデルなどの医療分野向けの製品開発を行っています。この製品は,宮城県産業技術総合センター(以下,センター)と共同で開発に取り組み,国内外の医療機関から好評を博しています。同社では,新たにセンターと共に取り組んだ,手術支援ロボットのトレーニングに必要とされる,質感が現物に近い「腎臓腫瘍モデル」の開発について,柴田幸彦代表取締役と柴田悠佑取締役にお話を伺いました。

※トレーニング用臓器モデルの製造販売事業は、現在はFasc株式会社が継承しています。

 (取材日 平成29年4月19日)

開発のきっかけ,産技セ利用の経緯

開発した腎臓腫瘍モデル
開発した腎臓腫瘍モデル

 トレーニング用血管モデルの開発やトレーニング用義歯モデル開発の際もセンターを活用していた同社では,今回の腎臓腫瘍モデルの開発に際しても,『いつも親身になって相談に乗っていただいた』(柴田代表)『もう,困ったら産技センターと考えていた』(柴田取締役)という思いがあり,今回もセンターに協力を依頼したということ。臓器モデルの開発について,技術的な相談だけでなく,資金面では「宮城・仙台富県チャレンジ応援基金」((公財)みやぎ産業振興機構)を活用して平成27年度からスタートしました。

3Dプリンターを用いた試作

活用した光造形システム
活用した光造形システム

 3Dプリンターを用いることで,より精度の高い臓器モデルを作ることを目指していた同社では,『(センター職員は)自分たちが思いつかないような試作品を作ってきてくれる』(柴田代表)と感じるなど,センター職員は同社と一緒になって光造形システム等の3Dプリンターや三次元CADを活用した製品化に取り組み,質感・量産性・バリエーションの様々な要素を満たす製品化に成功し,最終的な製品は平成29年1月に販売に至りました。

センターに期待すること

 『これらの開発を経験することで他の企業とも対等に話ができるようになり,海外からも共同開発の依頼がくるようになった』(柴田取締役)『技術者はセンターにしかいない。今後もいろいろな案件にセンターに関わってもらいたい』(柴田代表)。同社は医療への貢献に向けて開発を続けていきます。

会社概要

所在地郵便番号989-6135   宮城県大崎市古川稲葉字前田3-10
ウェブサイトhttp://www.tecno-cast.jp/
電話,FAX電話 0229-22-3141,FAX 0229-22-4144
代表取締役柴田 幸彦
創業1991年9月
従業員数11人
資本金700万円
主な事業歯科技工業,生体模型の製造