加美電子工業(株)は,車載内装部品,光学部品,民生部品,医療部品などの表面処理加工(塗装,スクリーン印刷,ロータリースクリーン印刷,ホットスタンプ,レーザー加工)を主体とした生産を行う企業です。技術開発にも力を入れており,平成29年には経済産業省「地域未来牽引企業」にも選定されています。
今回は,同社が産業技術総合研究所(以下「産総研」),宮城県産業技術総合センター(以下「センター」)との共同研究を行った,炭酸ハイブリッド塗装システムの開発について伺いました。
(取材日 平成29年11月9日)
炭酸ハイブリッド塗装システムの開発
同社の事業の中心となる塗装や印刷の工程には有機溶剤が不可欠です。一方で,有機溶剤の一部は揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれ,環境への影響が指摘されています。
「地球環境保全の観点から,これらを削減する必要があると思っていました。」(早坂裕氏)
そこで着目したのが超臨界二酸化炭素でした。
センター利用の経緯
「産総研東北センターへプラスチックの表面処理について技術相談へ伺った際,超臨界二酸化炭素を塗装に応用してみないかと提案を頂きました。」(早坂裕氏)
これをきっかけに超臨界二酸化炭素を用いる塗装法の開発が始まりました。加美電子工業(株)は塗装のプロとしての経験から二酸化炭素適合塗料の開発を,産総研は装置開発を,センターは試験分析技術を活かして塗膜品質評価技術の確立をそれぞれ担当するということでNEDOの補助事業に応募したところ採択され,共同研究をスタートしました。
共同研究を経て,塗装品質を維持したままVOC発生を大幅に抑制できる炭酸ハイブリッド塗装システムを実用化。平成30年11月には,クリーンエア産業を推進する中国のBLUETECH CLEAN AIR ALLIANCE から「未来之星」を受賞しました。
センターに期待すること
「企業が生き残るためには自身が技術力を持つとともに,常に高付加価値のあるものを生み出すことが重要です。センターには,現場ニーズに基づく研究テーマを設定し,技術的支援を行う機関として今後も支援をいただければと思います。」(早坂裕氏)
加美電子工業(株)は独自の技術開発により高品質で環境にやさしい塗装を実現します。
会社概要
所在地 | 郵便番号981-4302 宮城県加美郡加美町字下野目雷北6 |
ウェブサイト | https://www.kamidenshi.com/ |
電話,FAX | 電話 0229-67-3110,FAX 0229-67-6930 |
代表取締役社長 | 早坂 裕 |
創業 | 昭和45年6月1日 |
従業員数 | 110人 |
資本金 | 4,800万円 |
主な事業 | 塗装(溶剤・水系・UV・炭酸ハイブリッド),印刷(スクリーン・PAD・UV),回路印刷,レーザー加工,金型設計,機構設計,版下,製版作成 |