株式会社ミヤギタノイは,タップとダイスの専門メーカー株式会社田野井製作所のタップ製造部門として昭和48年に創業。近年ではゼロチップタップ(第4回みやぎ優れMONO認定品)や装甲タップなど,オンリーワンな製品開発を積極的に行っています。
今回は秋田県産業技術センターと宮城県産業技術総合センターとの3者で共同研究を行い,平成27年3月に発売された炭素繊維強化プラスチック(CFRP)用穴あけ工具「スカットドリル」の開発について,(株)ミヤギタノイの技術課 渡部技師長,久保課長,田部主任にお話を伺いました。
CFRPの高品位穴加工を可能にする工具の開発
当初はCFRPにねじ穴を加工する工具の開発を検討していたとのこと。
「開発にあたり,(一社)みやぎ工業会を通じてCFRPの加工技術開発を行っている秋田県産業技術センターに相談したところ,ねじ加工ではなく穴加工に大きなニーズと課題があると聞き,穴あけ工具の開発に取り組みました」(田部氏)
開発は,A-STEPハイリスク挑戦タイプ(復興促進型)(JST)や宮城・仙台富県チャレンジ応援基金事業((公財)みやぎ産業振興機構)などの補助金を活用しながら,平成24年度からスタートしました。
公設試との共同研究から製品化へ
共同研究では(株)ミヤギタノイが工具の設計・試作,秋田県産業技術センターが加工穴の品質評価,宮城県産業技術総合センターが工具の摩耗評価を担当しました。
「外注工程の多い工具の試作には時間がかかりましたね」(渡部氏)
時間短縮のために不要な工程を省くなどの工夫で乗り切り,平成27年に製品化。発売後もユーザーのニーズに合わせて改良が進められています。
「現在,ユーザーに最新の試作品を提供し,よい感触を得ています」(田部氏)
今後の展開と宮城県産業技術総合センターに期待すること
工具の摩耗評価で利用した宮城県産業技術総合センターの超精密非接触三次元形状評価装置は,
「とても良い装置」(久保氏)
と高い評価をいただいています。
「今は工具の強度評価や工具製造に欠かせない研削技術の高度化に興味があります。特に研削技術は,今後の大きな技術課題になると考えています。宮城県産業技術総合センターには装置導入や情報提供の支援をお願いしたいです」(久保氏)
(株)ミヤギタノイでは更なる品質向上を目指して技術の研鑽を続けています。
会社概要
所在地 | 郵便番号989-0537 宮城県刈田郡七ヶ宿町萩崎15-1 |
ウェブサイト | http://www.tanoi-mfg.co.jp/ |
電話,FAX | 電話 0224-37-2211,FAX 0224-37-2213 |
代表者取締役会長 | 田野井 義政 |
代表取締役社長 | 田野井 優美 |
創業 | 昭和48年9月 |
従業員数 | 77人 |
資本金 | 30,000千円 |
主な事業 | 切削工具(ハンドタップ・スパイラルタップ)・塑性加工工具(タフレット)を製造。オンリーワン製品としてシームレスタフレット,マルチタップ,ゼロタップ等を開発・製造し,多数の表彰を受けている。 |