セラミックスシンチレータに関する研究開発

更新日: 2022年3月17日
 

 近年,シンチレータに用いることができる材料が数十年ぶりに開発され,医療用検査装置のポジトロン放射断層撮影装置に利用されることが期待されているが,材料を単結晶で作らざるを得ず,生産効率と生産コストが問題となっている。平成27年から,生産効率を大幅に向上させつつ生産コストを下げ,且つその材料をポジトロン放射断層撮影装置に用いることができる品質の透光性セラミックスを作製することを目的として焼結に関する研究を行っている。平成28年までの研究で,パルス通電焼結法を用い,焼結温度等の検討を行ったところ,特定の温度域,加圧域,加熱時間域である程度の透光性が得られることが分かった。一方で焼結型から移行したと考えられる不純物の存在が明らかになり,実用化に関しては新たな課題が出た。本研究では新たな上記課題に加え,発光中心濃度の調整,焼結体中の微小欠陥の解消を課題とし,ポジトロン放射断層撮影装置に用いることができる品質の透光性セラミックスを作製することを目的として検討した結果,焼結時,バリアの配置を最適化することで,不純物の進入を防止する方法を確立し,結晶中のイオン半径をコントロールすることで,発光しつつ直線透光性のある試料が試作できた。近い将来,新規シンチレータ材料の透光性セラミックスが実用化されることが期待される。