筐体のEMC対策技術開発

更新日: 2022年3月4日
 

<研究事業名> EMC対策技術開発事業

<研究テーマ> 筐体のEMC対策技術開発

<担当者> 長岩功,沼山崇,岩間力,守和彦

<目的> 近年,情報機器装置等電子機器の小型化・高性能化・高周波数動作化に伴い,1GHz以上の高周波に関するEMC規制の国際規格化が進んでおり,今後のEMC対策は製品開発の時間短縮を図るうえでますます困難で重要な要素になってきている。本研究では,放射妨害波の要因である筐体の共振による内部電子機器の不要電波の増幅現象を低減する方法を開発する。

<研究内容及び成果>

1.概要
 プラスチック筐体における表面抵抗損失を原理とするシールド技術および共振抑制技術の開発

2.結果
 プラスチック筐体は金属筐体と違い,そのままでは筐体内部の電波の放射源をシールドすることが不可能である。そのため,メッキ等によりシールドする必要がある。しかし,メッキ等を施した場合,共振のために,筐体自身や隙間から電波が放射されることになる。
本研究では,プラスチック筐体内の壁面に抵抗成分を持たせる構造によりシールド効果と共振抑制を同時に実現する方法を開発した。図1にアドバンテスト法によるシールド効果測定結果を示す。50MHzから1GHzにわたり30dB以上のシールド特性を得ることができた。
図2に筐体内にループアンテナを設置し1GHzから2.9GHzまでの電波を放射させ,電波暗室内で筐体から距離3mの地点で測定した結果を示す。プラスチック筐体のみでは広範囲に渡り電波が放射されており,また,シールドのみでは共振によるピークが観測されているが筐体内部に表面抵抗を付与し共振抑制構造とすることにより,その共振ピークが消滅し,約10dB以上の低減効果を得ることができた。

図1:アドバンテスト法によるシールド効果測定結果の周波数特性グラフ
図2:共振抑制構造による共振ピークの消滅を示す放射EMIのスペクトルを示すグラフ