研削加工による超精密・鏡面部品の高能率加工プロセスの開発

更新日: 2022年3月4日
 

<研究事業名> 超精密加工技術開発事業

<研究テーマ> 研削加工による超精密・鏡面部品の高能率加工プロセスの開発

<担当者名> 林博,家口心,久田哲弥

<目的> 非軸対称非球面光学素子の加工技術を開発する。

<内容および結果>

1.概要
 情報関連機器の高性能化,小型化を達成するために,部品として用いられる光学素子の高精度化,低価格化が求められている。本研究では,非軸対称非球面レンズ金型を製品モチーフとして,研削加工による高精度・高能率な自由曲面加工技術の開発を進めている。

2.研究内容

2.1 形状精度の向上
 円弧包絡研削法で曲面を加工した場合,断面の形状測定で中央部に凹みが発生し,形状精度低下の原因となっていた。原因調査を行った結果,砥石上下動の動作精度の影響が考えられるため,加工機の上下動の干渉となる箇所を調査し,水よけカバー類など改善を行った。
 また,砥石送り速度による影響も調査し,加工条件の最適化を行った結果,加工品の形状精度は0.5〜1.0μmから0.3〜0.5μmへ向上した。

2.2 表面粗さの向上
 砥石の結合材の違いによる表面粗さへの影響を調べるため,加工実験を行った。その結果,硬い結合材(BL1)で良好な表面粗さが得られた。
 さらに粒度を変えた実験を行い,30nmPV未満の表面粗さを達成した。

3.技術移転
 自由曲面加工および鏡面研削加工について,5企業に対して技術改善支援による技術移転,試作加工を実施した。

図1:砥石送り速度と中央溝深さの関係を示すグラフ 図2:改善前の加工品形状測定結果,図3:改善後の加工品形状測定結果 図4:結合材と加工品表面粗さ