三次元測定機でできること
「三次元測定機」は,立体物の三次元座標(X・Y・Zの座標値)を取得し,三次元的に物体を測定することができる機器の総称です。直線や円・曲線の寸法を正確に測るだけでなく,平面度や平行度などの様々な情報も同時に調べる事ができます。二次元的に寸法を調べる「測定工具」では計測が難しい複雑な形状を,すばやく測定することに向いています。
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「接触式」と「非接触式」の違い
三次元測定機には,測定対象となる立体物をプローブで触れて計測する“”接触式”三次元測定機と,高性能カメラやレーザーなどを使い,測定対象に触れずに計測する“非接触式”三次元測定機があります。非接触で三次元のデータを取得する機器には,X線CTのように内部形状を非破壊で観察できるものもあります※1。
※1:マイクロフォーカスX線CT装置やサブミクロン三次元X線顕微鏡(XRM)などのX線CTは内部構造観察用途向きで,寸法計測には不向きです。
三次元測定機の精度マップ
測定したい対象物の大きさや,もとめる精度によって最適な測定機は変わります。下記マップでは各三次元測定機ごとの大まかな精度※2と,適切に測定できる測定物の大きさの目安を示しています。各機器の画像をクリックすると詳細スペックのページが開きます。
※2:測定条件や測定物の大きさ等により精度は変わります。
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三次元測定機の用途
寸法計測
測定対象の各部位の寸法や角度などを計測できます。測定方法によって真円度,平行度なども測定可能です。測定方式は,精度を求める場合は接触式を,全体形状をまんべんなく計測したい場合は非接触式が向いています。
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形状検査・評価
測定データと3D-CADデータ(設計値)を重ね合わせて,2つのデータのズレ量を可視化する検査・評価方法です。ズレ量は「カラーマップ」等で表示され,赤い部分が+方向に,青い部分が-方向にズレていることを表しています。非接触向きの用途です。
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三次元形状データの取得
スキャンしたデータをもとに,立体形状データを生成できます。立体形状データはSTL形式などの汎用的なポリゴンデータで保存でき,3D-CADや3Dプリンター用のソフトウェアに読み込めます。非接触向きの用途です。
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リバースエンジニアリング
測定データから変化したポリゴンデータは,リバースエンジニアリング(実物をもとに3D-CAD化する技術)に活用することができます。変換した3D-CADデータは一般的な3D-CADソフトで読み込み・編集することができます。非接触向きの用途です。
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内部構造観察
マイクロフォーカスX線CT装置やサブミクロン三次元X線顕微鏡(XRM)を使うと表面からは見えない内部構造を非破壊で観察することができます。但し,X線が通りにくい素材や厚みの測定物はノイズが多くなったり,観察できない場合があります。
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接触式の特徴
長所
接触式の三次元測定機は,測定対象を「高精度」に測定することができます。「繰り返し精度」が高いことも特徴で,測定を複数回行う場合,値のバラつきが少なくなる傾向があります。また,プローブが届く範囲であれば,非接触式では計測できない「深穴形状や死角も計測」できます。
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短所
接触式の三次元測定機は,測定対象に触れて測定するため,柔らかい素材や薄い板など「変形するものは測定不可」です。変形しない素材でも,プローブが「届かない範囲は測定不可」です。計測する場所は全て接触する必要があるため,非接触式比べて「計測時間が長く」かかります。
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非接触式の特徴
長所
非接触式の三次元測定機は,測定対象を「広範囲に素早くデータ化」することができます。「入り組んだ形状や三次曲面もデータ化」できるため,機能部品だけではなく,意匠部品の測定にも向いています。さらに,触らずに測定するので,柔らかい素材や薄い板などの「変形しやすい素材も測定可能」です。
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短所
非接触式の三次元測定機は,測定する条件(測定範囲,測定環境,測定対象の表面状態など)によって,接触式に比べて「精度が下がる」場合があります。様々な測定方式があることも非接触式の特徴ですが,それぞれの測定方式で「苦手な形状,材質,色」があるため注意が必要です。特に,反射したり,透明な素材などは「測定用スプレー(白い粉体)」の塗布が必要です。また,X線CTは機器の特性上,寸法精度を保証できません。ですので,利用の前にそれぞれの装置の特徴を良く理解する必要があります。
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センターで使える三次元測定機
接触式
非接触式
- ワンショット測定顕微鏡
- 超精密非接触三次元形状評価装置
- 非接触三次元測定機
- ポータブル3Dデジタイザ
- 非接触画像光学式三次元デジタイザ(FLARE)
- アーム式デジタイザ(ベクトロン)
- サブミクロン三次元X線顕微鏡(XRM)
- マイクロフォーカスX線CT装置
お問い合わせにあたり
三次元測定機に関する詳細なご相談は相談窓口までご連絡ください。その際,以下の内容をお伝え頂けるとスムーズです。
- 利用予定の装置と測定の目的
- 何を測定したいか?
- おおよその大きさ
- 希望する精度
- 素材や表面状態(光沢,シボ加工,透明など)
- 測定物の写真(全体の形状がわかるように複数の角度から撮影)
- 測定希望の時期
内容を確認後,担当職員から返信いたします。
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お問い合わせ
宮城県産業技術総合センター 企画・事業推進部 基盤技術高度化支援班
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