2025年2月14日(金)、宮城県産業技術総合センターを会場に、R6年度「第3回宮城AM研究会」を開催しました。本研究会では、「地域企業におけるAM技術」をテーマに3つの講演と情報交換会が行われました。
講演の一つ目は、宮城AM研究会スーパーバイザーの千葉晶彦特任教授(東北大学未来科学技術共同研究センター)より、国内製造業においてAM技術を活用するメリットを、航空宇宙、自動車、医療など、様々な業界の事例をもとに解説していただきました。
千葉教授ご自身が過去に取り組んだ「人工関節のAM造形」の事例紹介では、AM活用のメリットだけではなく、AM製造部品を実際に使うことに対するハードル(法律、規則、AMに対する偏ったイメージなど)もお話いただきました。

講演の二つ目は、本研究会会員であるJUKI会津株式会社 技術部技術課 課長 石田 一生氏より、「精密鋳造分野におけるAM活用事例と課題」と題して、石田氏が社内で取り組んでいる事例について解説していただきました。
同社は、ロストワックス精密鋳造法による生産工程にAM技術を取り入れ、新たなものづくりにチャレンジしているとのことです。石田氏から実際の部品を見せてもらいながら、具体的な社内の取り組みと課題をお話しいただきました。
会場には、同社で生産している部品や、AM技術とロストワックス技術を組み合わせて作った「赤べこ(トップ画像)」など、ユニークな取り組みの展示も行われました。


講演の三つ目は、同じく本研究会会員である株式会社東北PREP技術 千葉 赳巳氏より、「PREP(プラズマ回転電極法)技術の可能性と課題」と題して、PREP技術で作られた、AM造型機用の金属粉末“PREP粉末”の特徴や、PREP粉末を利用するメリットについて解説していただきました。
PREP粉末は他の製法で生産した粉末よりも真球度が高く、サテライト(粉末の周囲に付着した微粉末)も少ないため、AM造型の品質が安定するという特徴があります。また、粉末の球形が一定であるため、コンピュータによるシミュレーションと実際の現象との差異が小さく(球形が不揃いの粉末によるシミュレーションは難しい)、DXとも相性が良い技術とのことです。

講演会の終了後は、研究会会員と講師が車座となり、地域企業がAM技術を業務に取り入れる可能性と課題について、民間企業、学術機関、行政など、さまざまな視点から熱心に議論を行いました。

次回の研究会は2025年の春~初夏頃を予定しています。宮城AM研究会の会員やMDE(みやぎデジタルエンジニアリングセンター)メンバーズの方々には、メールで次回研究会のご案内を差し上げます。会員登録がお済みで無い方は、是非下記より登録(無料)よろしくお願いします。
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