R6年度「第1回宮城AM研究会」開催報告

更新日: 2024年9月5日
 

2024年7月19日(木)に、日本積層造形株式会社を会場に、R6年度「第1回宮城AM研究会」を開催しました。宮城AM研究会スーパーバイザーの千葉晶彦特任教授(東北大学未来科学技術共同研究センター)の挨拶ではじまった今回の研究会では、樹脂AM(樹脂3Dプリンター)を工場内で使われる治具/副資材の製造に活用したり、車部品の量産に適応した事例発表などが行われました。

講演(1)「産業用カーボンファイバー3Dプリンターを活用した治工具/副資材製造の大きなメリット」では、株式会社データ・デザイン テクニカルユニット グループリーダー 牛尾公一氏より、産業用カーボンファイバー3Dプリンター(Markforged社)を使って、治工具や副資材をオンデマンド製造するメリットについて解説頂きました。この3Dプリンターで作られた部品は、主にMCナイロン製の切削加工部品の置き換えにとして使われ、リードタイムやコスト削減の面で大きな効果を上げているとのことでした。
事例紹介では、トヨタ自動車などの国内大手メーカー工場での取り組みについてご紹介いただきました。AM技術による治工具/副資材の製造に取り組んでいるこれらの工場では、アイデアを実現するハードルが下がり、工場内で働く皆が積極的に〝カイゼン〟のアイデアを提案する動きが自然と生まれているそうです。

具体的な事例をもとに、AM技術活用のメリットを解説。
実際に工場内で使われているものと同じAM製造部品の展示。

講演(2)「樹脂AMによる量産部品の製造とDfAM設計」では、SOLIZE株式会社 AMシステム部 シニアマネージャー 岩井正義氏より、量産工程で使用できる樹脂3Dプリンター(HP社 Jet Fusion等)の特徴や、量産部品へ適応するために必要な物理試験や品質保証の手法などを解説頂きました。物理試験では、量産に適した安定したパラメーターを見つけるために、「いじわる試験(仕様要件を大きく外れるような値で行う試験)」を行うなど、AM製造部品の品質について徹底的に調査・分析したそうです。
それらの試験結果をもとに量産化に成功した事例として、トヨタ自動車LEXUS LC500の純正パーツ「オイルクーラーダクト」等の紹介と、そのDfAM設計についても説明して頂きました。

量産向きの樹脂AM造形についての解説。
樹脂AMで生産された部品(眼鏡や車部品など)の展示。

セミナーの後半、みやぎデジタルエンジニアリングセンターからは「AM実用化プロジェクト」の参加募集受付の案内や、ドイツで開催されるFormnext 2024の調査旅行の情報提供を行いました。また、会場後方には、株式会社データ・デザイン、SOLIZE株式会社、新東工業株式会社によるミニブースも設置され、セミナー開始前や休憩時間に、参加者間での活発な技術交流が行われました。

研究会終了後は、3Dプリンターの国際規格 ISO/ASTM52920準拠の「AM製造サイト認証」を取得している日本積層造形株式会社の工場見学を行い、AM技術についてさらに理解を深めました。

AM部品の表面処理サンプル。
みやぎデジタルエンジニアリングセンターからの情報提供。

関連情報