R5年度「第3回宮城AM研究会」開催報告

更新日: 2024年9月5日
 

2024年3月6日(木)に、東北大学金属材料研究所にて、R5年度「第3回宮城AM研究会」を開催しました。宮城AM研究会スーパーバイザーの千葉晶彦特任教授(東北大学未来科学技術共同研究センター )の挨拶と講演にはじまり、短下肢装具の開発事例やAM製造部品のポストプロセス技術に関する発表など、様々な視点でAM技術について学びました。研究会の後半には、宮城AM研究会会員が取り組んできたAM実用化プロジェクトについて、各担当者から発表もありました。

講演(1)の「金属AMに関する最新情報術」では、千葉晶彦特任教授(東北大学未来科学技術共同研究センター/宮城AM研究会スーパーバイザー)より、ドイツ・フランクフルトで開催されたAM関連技術に関する世界最大級の展示会「Formnext 2023」の調査報告についてお話し頂き、AM技術の最新トレンドについて学びました。

講演(2)「トポロジー最適化技術を活用した短下肢装具の開発」の講演者である東北福祉大学川﨑研究室の川﨑善徳氏は、3Dスキャナーや3D-CADを使い個々人の体型に合わせた短下肢装具を設計して、3Dプリンターで造形するという研究に取り組んでいます。今回の講演では、トポロジー最適化設計を行った形状をナイロン粉末で造形した短下肢装具について、臨床試験の様子や強度試験の結果などを交えて発表頂きました。

講演(3)「ブラスト・バレル研磨によるAM製造部品のポストプロセス技術」では、新東工業株式会社の辻俊哉氏より、AM造形した部品の表面処理技術について、様々なサンプル品と共に解説して頂きました。休憩時間中にも、参加者たちは表面処理前後の部品を見比べながら講演者と議論を重ねていました。

千葉先生による最新情報発表。
短下肢装具の強度試験について解説。
表面処理技術を分かりやすく解説。

研究会の後半は、宮城AM研究会会員から、各会員が取り組んできたAM実用化プロジェクトについて発表が行われました。

日本積層造形株式会社の武藏氏と株式会社コイワイの小岩井氏による共同発表では、「大型AM造形のギガキャスト試作への応用」と題し、大型AM造形技術をギガキャスト量産前の試作に応用する取り組みについて解説いただきました。会場には大型造形を行った実物モデルも展示され、参加者は大型造形のサイズや品質などを確認していました。

株式会社エヌエス機器の沼倉氏からは、三次元スキャンとMEX造形(熱溶解積層方式)技術を用い、自社工場内で使われる治具を開発した事例を解説頂きました。開発した治具は、実際の量産工程で使われ、開発に掛けた時間的・金銭的コストも約一ヶ月で回収できたとのことです。

大型AM造形で自動車部品を制作。
ギガキャスト試作への応用。
AM技術を治具制作に活用。

研究会の会場には、講演に関連する様々なサンプル品が展示され、参加者は実物を見ながら、AM技術について理解を深めていきました。

後処理に関するサンプル展示。
治具や研磨技術についての展示。
トポロジー最適化設計を行った短下肢装具の展示。

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